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家庭の薬膳

漢タロウ薬局 5月の健康コラム

薬剤師:斎藤まゆみ

〜熱中症にご用心〜


◆熱中症とは?

 五月晴れ。爽やかな気分。ピーカン照り。気温がぐんぐん上昇。まだ暑さになれないこのころが熱中症に要注意なのです。
 熱中症とは、暑い環境下で急激に体温が上昇して生じる急性障害の総称です。
暑くなれば、汗をかき、熱を逃して、体温調節します。
 しかし、発汗量が限界を超えると、体内の水分や電解質(特に塩分など)が不足し、バランスが崩れ、様々な症状が起ります。


◆その原因

  1. 体温調節機能の限界を超えた場合
  2. 他に複合的に疾患を抱えている場合
  3. その治療薬を服用する場合、薬物の影響
  4. 脱水症状がおきやすい状況下で、水分の補給が遅れた場合

 熱中症を起こしやすい疾病や治療薬は、様々なものがあります。もちろん、元気な高齢者や若者でも熱中症に注意が必要なことは言うまでもありません。屋外だけでなく、室内で起こる場合も少なくありません。エアコンをつけることを嫌う高齢者が、気密性の高い現代の住宅環境に一人でいるような場合は要注意です。


◆症 状

軽症度 熱けいれん 多量の発汗中、水(塩分などの電解質が入っていない)のみを補給した場合に、起こりやすいとされます。足や胸、腹のけいれんが見られる。
熱失神 暑さで皮膚血管が拡張して循環不全に陥る。血圧が下がり、眩暈や失神がおこる。
中症度 熱疲労 汗を出し過ぎて血液の塩分濃度が低下。脱力感、めまい、頭痛、吐き気など。
重症度 熱射病 体温上昇による中枢機能の異常で、名前を呼んでも返事をしなかったり、話しを出来てもろれつが回らなかったり、意識がないといった症状が見られる。死亡率が高い。


◆予防と対策

涼しい環境を作る

 密閉された車内や、気密性の高い屋内の場合、窓を開け換気する。
 エアコンを使うことを我慢しない。

水分補給

 気温の上昇とともに、体表面から汗を蒸散させることで体温を下げる機能が働きます。水分はどんどん奪われているのに、その分を補給できない場合、熱中症の症状が現れます。タイミングをのがさず、適宜水分の補給を心がけましょう。

●電解質の補給

 汗とともに失うものは水分だけではありません。生命活動に欠かせない電解質も失われます。特に塩分(ナトリウム)など。できれば水分補給の際、スポーツドリンクのようなものを少しずつ補給していきましょう。

●前触れを見逃すな

 前触れとして「立ちくらみ」や「こむら返り」がおこることが多いようです。これらの症状を見逃さないように注意しましょう。

●応急処置
  1. 意識のレベル確認 反応がない場合、ただちに救急車を呼ぶ。
  2. 涼しい場所に移し、安静にさせてボタンやベルトをゆるめる。
  3. 水分を補給する。水だけでなく電解質を含むスポーツドリンクなどが最適。
  4. 体温が高い場合は医療機関を受診させる。受診するまで、冷たいタオルなどを首の下、わきの下などに当てて冷やし、体温を下げるように努める。

●補足

 熱中症は、急に暑くなる時期、梅雨の晴れ間突然気温が上昇した日、梅雨明けの蒸し 暑い日などに多く発生しています。暑さの厳しい8月以降ではかえって発生件数が減 ると報告されています。
 これは体温調節の能力が関与しているためと思われます。暑さに馴れて来るに従い、 発生件数も、症状も低減します。
 熱中症は屋外で起こるとは限りません。閉め切った室内や、炎天下放置された車の中 などでもおこる可能性があります。エアコンを使ったり、換気を行ったりして、室温 と、体温のコントロールに注意することが大事です。


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