漢タロウ薬局 10月の健康コラム
薬剤師:斎藤まゆみ
ほろ苦きこと「あけびの思い出」
●ほろ苦きこと
昨日、八百屋の店先に淡い紫色のお稲荷さんの形をした「あけび」を見つけました。子供のころ里山で遊んだことのある方なら、あけびの甘い実でのどを潤したことがあると思います。半透明で、黒いつぶつぶの種の周りを保護しているゼリー状の果肉。とても懐かしい味です。
山形では、昔から、「秋のお彼岸のころには、先祖の御霊が“あけびの舟”に乗って帰ってくる」という言い伝えがあり、この季節になると山から、あけびを採ってきて仏壇にお供えする風習があります。
そんな風に、山形では自然の恵みと、日常生活への結びつきが強く、豊かです。もちろん、あけびも無駄なく、どこも捨てることなく美味しく頂く知恵を働かせます。甘い果肉だけを食べて皮をポイと捨てるようなもったいないことは山形人はいたしません。残った皮も食べてしまうのです。皮は沖縄のゴーヤと同じで苦味があります。だから身体にいいのかもしれません。
人生なんて、というと大げさですが、ほろ苦い思い出の方が、甘〜い思い出より、ずっと印象深い場合もあったりしますものね。それだけ、苦味は微妙で、いろんなものに効いてきそうです。
●【調理法】と【料理】を簡単に紹介します
肉味噌詰め
ずんだあえ
ピーマンの肉詰めを、あけびの皮でやるような料理です。
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まず、肉味噌を用意。肉は鳥挽きなどがあう。キノコ類なども混ぜるとなお美味しいかも。
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実を取り除いた皮に小麦粉をまぶし、肉味噌を詰めて干ぴょうで結ぶ(なければタコ紐でもよい)。
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多めの油をフライパンにしき、よく熱し肉味噌を詰めたあけびを並べる。火加減を中火にし、焦げ付かないように注意しながら両面を焼いていく。
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中の味噌に油が廻り、ぶくぶく言い出したら、そろそろ出来上がり。
「ずんだ」とは、茹でた枝豆をすり鉢でつぶし、砂糖と塩で味付けした緑色のアンのこと。
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皮を一口大に切りそろえ、沸騰したお湯で茹でる。火が通るまで、数分茹で、冷水にとる。
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落とし水(流水)をして、30分程度アクを抜き、水を切る。
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それを「ずんだアン」とあえれば出来上がり。
天ぷら
油いため
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普通に天ぷらの材料として使う。油通しをすると、若干苦味が抜け食べやすいかも。
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皮を半分に割り、横に一口大に切りそろえる。
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フライパンに油をしき、炒める。
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酒・砂糖少々・醤油・みりんで味を調えれば出来あがり。
漬け床
干しあけび
実そのものに塩を加えて、ぬか味噌のように漬物の床として使う。
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皮から実を外し、ビニールの袋に入れる。
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実の量の3〜5%の塩を加え、よくもむ。
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キュウリ、皮を剥いた人参・大根などを漬け込み、冷蔵庫で一晩ねかせれば食べごろ。
※みのもんたの「おもいッきりテレビ 」で紹介されました。
冬の保存食。
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皮を一旦茹でるのがコツ。お天気のいい日に茹でてから、盆ざるに広げて乾燥させる。
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食べるときは、半日ほど水に浸して戻してから水を切り、油で炒めて味噌で味付けする。ほろ苦さと独特の歯ごたえがいい感じ。
木の芽あえ
実や皮だけでなく、春早く萌え出す芽と花も、おひたしにして食べる。
これが、シャキシャキとした歯ざわりで、くるみを刻んで掛けたりすると、お醤油とよくあい風味が絶妙。
●漢方と、あけびの関係について
山野に自生するつる性の落葉植物。左巻きに他の木や草にまきついて育ちます。(北海道を除く)あけびの木部には、アケビンという配糖体が含まれています。つるを輪切りにして天日で乾かしたものを漢方では「木通(もくつう)」といい、利尿剤、鎮痛剤や 腎臓炎、膀胱炎、浮腫の薬として用います。果実は、スタミナ果実として、精がつくと言われ、脚気や脳卒中の予防薬として利用されます。
●関連記事のご紹介
最近、山形では減反などの影響で、山間部の田畑での「あけび」の栽培面積が増えてきているようです。全国生産量150トンほどですが、その大半が山形県産で占めています。昔は、どこの産地でも、山に自生している「あけび」を採集してきて卸していたのですが、山形県では、「あけび」を特産品とする地域があり、農協や自治体も後押ししながら、全国に良質な「あけび」を出荷しています。
おらほの自慢 【あけび】
http://www.pref.yamagata.jp/sm/somu/koho/426500/
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