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家庭の薬膳

漢タロウ薬局 12月の健康コラム

薬剤師:斎藤まゆみ

〜納豆汁〜


●先人の知恵、納豆汁

山形 玉こんにゃく 一昔前、農家では暮れ(12月)になると納豆を仕込み始めたそうです。正月に餅をつきますが、その餅に付けて食べる納豆をあらかじめ準備するのです。秋に収穫した新豆を用い、藁ももみを脱穀したばかりの新しいものを使って。豆を柔らかく蒸し、藁のつとに仕込み風呂敷などで包んだ上で掘りごたつの隅っこに10日ほど寝かせれば出来上がります。自家製納豆です。

 正月は、餅をつき新年を寿ぎ収穫に感謝し、またの豊作を祈ります。
山形 玉こんにゃく
 そして1月7日。家族の一年の健康を祈願して七草粥を食べる風習が生まれてきます。ところが、ここ山形では、七草じたい雪の下で、草摘みをすることが困難です。そこで先人たちは知恵をはたらかせ、七草粥のかわりに納豆汁を作り食べたのでした。

 「納豆汁」は、冬期間の蛋白の源でもあり、日照が不足しがちなこの時期にビタミンを補うためにも利用されていました。先人たちが厳選した具の数々、生活の知恵がつくりだした郷土の味といえます。

●材料/作り方を簡単に紹介します。

【材料】
納豆・豆腐・いもがら・油揚げ・こんにゃく・ねぎ・せり・味噌
【作り方】
1. 納豆をすり鉢でよくする。
2. 豆腐、いもがら、油揚げ、こんにゃくをさいの目切りにする。人参やゴボウなどあれば入れても良い。
3. 水から、いもがら、こんにゃく、油揚げ、人参、ゴボウを入れて煮る。
4. いもがらが柔らかくなったら、豆腐、納豆を入れ味噌で味付け。
5. 薬味としてねぎ、せりを最後に添えて完成。

●納豆の持つ力と健康効果

コンニャクとタラの子炒り 豆腐や納豆の原料となる大豆には、「畑の肉」と言われるほど豊富なタンパク質に加え、活性酸素の抑制作用が期待される大豆サポニンや、腸の調子を整えるオリゴ糖、血流をスムーズにする作用があるレシチンなどが含まれています。
 この大豆を原料とする、伝統的な日本の発酵食品の中でも、優れた健康効果を持つと言われる「納豆」。その多様な効能につきましては、科学的なアプローチも進み、健康食品なども星の数ほど開発されているようですね。
 中でも強力な薬効があるのではということで注目されているのが、糸を引くネバネバ成分「ナットウキナーゼ」です。酵素の一種で、特に血栓溶解酵素として血液をサラサラしてくれるそうです。この「ナットウキナーゼ」は、世界で唯一納豆だけに含まれているとか、やはりこの優れた薬効は見逃せない点かもしれません。血栓を溶かすナットウキナーゼは、心筋梗塞や脳卒中の予防に役立つのでは、と期待されています。

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