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健康コラム
漢タロウ薬局 3月の健康コラム
薬剤師:斎藤まゆみ
〜山形の雛祭りには「アサツキ」〜
●萌えるアサツキ
ふと気づくと、遠い山並みが霞んでいます。じっと耳を澄まします。裏山の沢から水音が聞こえてきます。水面が白くにごって増水し、岩にぶつかり泡となって砕けています。
待ちに待った春です。田んぼの雪が消えて、あぜ道に緑色の芽が吹きます。
山形の雛祭りには欠かせない「アサツキ」です。冬の間不足しがちだったビタミン類を多く含んだ山菜です。それに貴重な蛋白源であった「タニシ」を酢味噌で和えて食します。 『和漢三才図絵』(1712年)に、「その辛味は他の葱に倍し、臭気はほかの葱より浅し、故に浅葱(アサツキ)と名づく」、とあるそうです。
軽くゆでたアサツキとタニシ(貝)の剥き身を酢味噌で和えるのが基本ですが、大人用に芥子を加えても美味しいです。
ただし、いまではタニシはほとんど獲れませんので、烏賊や蒲鉾で代用します。またタニシを使うのは内陸地方の特徴らしく、一般的にはアサリが普通のようです。この辺にも先人の知恵が隠されているように思われます。
つまり身近な食材を上手に利用して健康を増進しつつ美味しくいただく。早春で最も新鮮な自然の恵みであるアサツキと、タニシが和えものとしてお雛様に供えられたのもうなずけます。
それは大事な娘の無事な成長を、心から祈る親心なのかもしれません。
●アサツキの薬効
江戸時代の食品解説書『本朝食鑑』(1697年)と言う本に、アサツキは「気を下し、食を消し、また能く食を進める」とあります。
「気を下す」とは、漢方で言うところの「気」を体外に排除するということです。つまり、邪気(よくない気)が体内に蓄まると病気が発生するので、気を下さなければなりません。「食を消し」とは、消化を促進し、「能く食を進める」とは食欲増進で、これらの効果により、滋養強壮に役立つものとしています。
成分として、鱗茎や葉には、ペントース、マンナン、カロチンなどが含まれています。カロチンは人体に吸収されると、ビタミンAとなります。
(カロチンは、油に溶やすく、油脂と共に食しますと95パーセントが吸収されますが、油脂を使わない場合は20〜50%ぐらいしか吸収されなといわれます。ビタミンAの補給には、油脂を用いた料理がよいかもしれませんね。)
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山形は果物王国と言われるぐらい果物の種類が豊富に採れるところです。旧暦の雛祭りのころはちょうど花期にあたります。村山盆地全体が様々な果物の花で覆われ、それはそれは美しい景色に染まります。サクランボ・リンゴ・ラフランス・モモも咲きます。
雛祭りはまた「桃の節句」とも呼ばれます。古来中国では桃には霊的な力があると考えられており、桃の花による厄払いすることが「桃の節句」の意味なのだそうです。そうですね、だから山形にはお雛様が似合うのかもしれません。
雛の道:
かつて川の道として栄えた最上川は、紅花をはじめ、多くの物資を京や江戸へ運び、帰りの船には仏像や鮮やかな衣装など、華やかな京・江戸文化をのせて戻りました。その文化のひとつが雛人形です。たどりついた雛たちは川沿いの町の比較的豊かな家で飾られ、今では全国的に雛の道として知られるようになりました。三百年も前の古代雛たちは今でもそれぞれの美しさを誇っています。
(山形観光スポット情報)
●アサツキの酢味噌和え 簡単レシピ
【作り方】
1.
アサツキの根を切り、よく水洗いをします。
2.
なべに多目のお湯を沸かし、アサツキを投入。2〜3分ほど茹でます。
3.
茹で上がったアサツキを冷水に取り、よく絞って水気を切ります。
4.
タニシあるいはアサリ、烏賊・蒲鉾のいずれかの材料も湯通ししてよく水気を切っておきます。
5.
鍋に適量の味噌、味噌の1/3ほどの鰹だし・酒・味醂・砂糖を加えて弱火で練り上げます。
6.
食べる間際に材料を和えて、盛り付けます。
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