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家庭の薬膳

薬剤師:斎藤まゆみ

「踊って笑って…オレ!」

お盆も終わり、あなたのご先祖様も無事にあの世とやらに戻られたでしょうか。そういえば、盆踊りにいかれましたか? どうも毎年参加者が減っていると言う話しが聞こえてきますけど、いかがでしょう? マツケンサンバでもやっていただければ私もいの一番で参加するんだけどな。でも踊ることってとても健康的なことですよね。
踊るアホーに見るアホー、同じアホなら踊りゃなソンソン。
踊る人の顔はみな笑顔。笑いが元気を呼び、踊りが健康を作る。先人の知恵は畏るべし。笛に太鼓にチンチロリン。歌い手の澄んだ声。「メデタメデタの若松様よ〜っ!」あぁ、何だかこの暑さにも負けない元気が出てきます。
踊った後は、キンキンに冷えたビールが美味しいですよね。おつまみはもちろん枝豆。山形には「だだちゃ豆」と「秘伝豆」という美味しい豆があります。
今月は「豆」の話題です。畑のお肉と言われるだけに栄養価もバランスがよく美味しい話題です。しばしお付き合いのほど願います。

 

●「枝豆の由来」

そもそも枝豆は、夏の盛りに農作業で疲れた体を癒し、栄養補給の意味もかねて、若取りした「枝付き豆」をゆでて食べることが風習となったのではないかと思われます。それがちょうどお盆の頃と重なり、お供えの一つになったのでしょう。枝豆の歴史は古く、大豆が日本に伝わったのは縄文時代〜弥生時代だといわれていますが、江戸時代の頃には現在のように枝豆として食べられるようになったそうです。

●「旬」

「旬」と言う言葉が、あまり意味を成さなくなってどのぐらいたつのでしょう。生産技術や流通システム、日々高度化していく保存技術。ひいては消費者自身の意識の変わりよう。季節を問わず、地域も問わず、世界中のあらゆる食べ物がお金さえ出せばいつでも手に入るようになりました。これはやはりすごいことです。
でもどこかで、やはり「旬」のものは「旬」にということを大事にしたいと言う気持ちもあります。それは、本当の美味しさって何かを問うことにもつながっているのかもしれません。
夏の美味としていにしえから親しまれてきた枝豆ですが、ここ山形は昔から食材をとても大事にするところで、今でも「旬」が生きているところでもあります。つまり、旬の食材はおいしさだけでなく栄養面でも非常にすぐれていることを承知しているのです。これは、山形が生産県であることにも関係しているのでしょう。作物を作る人が、その作物の一番美味しい時期を知っているのは当然のことですから。

●「豆で達者に」

栄養面から見ますと、枝豆は豆と野菜の両方の特長をもっています。大豆の特長である良質なたんぱく質や、カルシウム、イソフラボン、食物繊維などが挙げられるでしょう。また、緑黄色野菜の特長であるカロテン、ビタミンC などをたっぷりと含んでいます。
このところ注目を浴びている、細胞を作るのに欠かせない働きをもつビタミンB複合体のひとつ「葉酸」のことに一言触れておきましょう。
葉酸は、体細胞をしなやかにする働きがあります。不足すると癌や痴呆症の増加にもつながるそうで、動脈硬化の発生リスクは約3倍になるとか。一日の摂取量は成人男女で400μgが理想と言われていますが、現在のところ、平均で約50%程度の摂取量だという統計もあるようです。
葉酸はもともと水溶性で、熱に弱く、茹でたりすると半分近くも失われてしまいますが、枝豆は固いサヤが実を覆ってくれているため、栄養分をほとんど逃さすことはないそうです。
ただし茹でた後、落とし水などで熱をとるようなことはせず、なるべく平らに広げて、団扇か扇風機などで冷ますようにするとよいでしょう。

●「だだちゃ豆」

「だだちゃ豆」は、鶴岡周辺の限られた地域で江戸時代から農家が大切に守り生産されてきた枝豆の「在来種」です。サヤには茶色い毛が生え、くびれも深いため見た目は良くありませんが、他にない独特の香りと甘みがあり風味がよいと評判です。
生産地は山形県鶴岡市白山地区。生産量も670t(平成15年度実績)程度と限られており市場への出荷量も少ないため「幻の枝豆」とも言われおり、その稀少価値が評判をよんでいます。

収穫時期はごく短い間です。早生豆など一部早く出回る品種もありますが、8月の旧盆の頃から9月上旬まで。稲刈り前の一仕事です。

●「秘伝豆」

正式名称は「青大豆 秘伝」
なんだかたかが「豆」の名前としたら大仰なかんじがしますけど、この名前を命名した方の強い思い入れを感じます。それは品種としての優秀さも物語ります。枝豆としても大豆としても商品価値は変わりません。この豆を原料にした、こだわりの秘伝豆腐・秘伝味噌まで作られ、けっこう評判です。これだけ万能の品種も珍しいそうです。
しかし、収穫時期が9月下旬頃からになりますので、真夏の夜には間に合いません。そのかわり、満月に豆と言う見立てを、昔の日本人は考えました。これが「豆名月」
旧暦、9月13日の月を愛でる風習で、秋の行事として月にお供えし、収穫に感謝したのでしょう。

●栄養成分

成分100g当り

枝豆

大豆

エネルギー

144kcal

417kcal

水分

69.8

12.5

蛋白質

11.5

35.3

脂質

6.6

19.0

糖質

8.5

23.7

カルシュウム

90

240

リン

170

240

1.7

240

ナトリウム

1

240

ビタミンA

110

240

ビタミンB1

0.32

240

ビタミンB2

16

240

ビタミンC

30

240

● 漢方の視点で

  • 枝豆(大豆)には共通して、胃の内容物を腸の方へ下げる作用があります。便秘の改善が期待されます。
  • 夏かぜには、生の枝豆を鞘から出し倍量の水で煮だし、暖かい内に砂糖か蜂蜜を入れ味を付けし、一日2回くらいの服用しますと熱冷ましの効果があります。
  • 食中毒、腎炎、乳汁不足、除湿(体内の余分な水分を排出)、喉乾きを押さえる作用などもあります。

●簡単薬膳「ずんだ餅」

【材料】

材料:枝豆、お餅、お砂糖、お塩
用意するもの:すり鉢、スリコギ棒

【作り方】

  1. ゆでた枝豆をサヤから取り出し薄皮をむきながらすり鉢に投入、スリコギ棒ですりつぶす。
  2. ペースト状になるまですりつぶし、塩と砂糖で味付けする。
  3. 切り餅を沸騰したお湯に漬けやわらかくなったら取り出し、ずんだ餡をまぶし盛り付けます。
漢タロウ薬局
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