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漢タロウ薬局 6月の健康コラム

薬剤師:斎藤まゆみ

〜サクランボは「そっと、そぉーっと!」〜


●サクランボの気持ち

笹の葉 昨日、ニュースで今年初のサクランボの窃盗団が出没したと伝えていました。被害にあったおばぁちゃんがインタビューを受けていました。とにかく丹精こめて一年間一所懸命面倒をみて、ようやく実を結び、明日あたり収穫しようと思っていた矢先の出来事で、盗む人の気持ちが分からない。悔しいです。残念です。と目頭に涙をためながら話していました。
 盗んだ人は、きっと、このおばぁちゃんの気持ちは分かっていないのでしょうね。人として寂しい気がします。
 サクランボの収穫には気を遣います。ちょっと気を抜くと軸から実が離れて商品価値がなくなってしまうからです。そうなると痛みも早いです。だからそっとやさしくあつかわなければなりません。

●どこから来たの?

 サクランボは、明治7〜8年、農業の近代化を目指した政府が、リンゴや洋ナシなどの苗木と同時にサクランボの苗をヨーロッパから輸入したといいます。明治42年、山形県の農事試験場で本格的に栽培され、山形のサクランボとして知られるようになっていきました。
 しかし、当時輸入されたサクランボの品種は、どれも日持ちも悪く、酸味も強く実も固いものでした。また、交通事情も悪く、遠地に出荷したサクランボは途中で腐ってしまう始末...。

●どこで生まれたの?

 そんなとき、山形県東根市で果樹園を経営していた一人の青年が、サクランボの品種改良に情熱を燃やしていました。彼の名は、「佐藤栄助」。努力の甲斐が実を結び、品種改良に成功したのが大正十一年(1922年)のことです。これが彼の有名な「佐藤錦」です。 鮮やかなルビー色の輝きが、とても美しく食欲をそそります。特に小さいお子さんとか、女性に人気です。今私たちがこんなに美味しいサクランボを食べられるのは、佐藤栄助さんの情熱と努力のおかげだと言えます。栄助さんに心から感謝です。


サクンランボ薬効


 こんなに小さくって可愛いサクランボですが、意外にいろんな薬効があります。
サクランボはもともと、バラ科で杏や梅と同じくサクラ属に属していますのでうなずけるところですが。
 では早速紹介しますね。

栄養素 解    説
ブドウ糖 小さく重さも軽いせいか、相対的に一粒あたりの栄養価はさほどではありません。しかし、水分が少なく糖度も高いため、高カロリーな果物と言えるでしょう。
糖質のほとんどがブドウ糖であるために、体に吸収されやすく、エネルギー効率もいいと言われています。
ブドウ糖は、脳へのエネルギー源。朝食にサクランボを摂るのも悪くないようです。
朝は忙しく食事が摂れない方でも、簡単で時間もかからずいいですよね。冷蔵庫で冷やしたものなら、のど越しもいいですし、頭の回転も速くなり、元気も出ていいことづくめです。
カリウム カリウムの含有量は、100g当たり210mgととて多いようです。カリウムは、体内 の塩分バランスに関与します。「高血圧」の場合、カリウムが塩分調整してくれます ので、血圧を下げてくれます。高血圧でお悩みの方が、サクランボを摂るのはいいですね。
さらに、カリウムには利尿効果がありますので、「むくみ」でお悩みの方にもいいと思います。
他のミネラル
(リン・カルシウム・マグネシウム)
成分表を見ていただければ分かるとおり、量は多くないものの、バランスがよく、意外に天然サプリメントとして理想的な果物です。
サクランボの成分表はこちら
有機酸
(リンゴ酸・クエン酸・酒石酸・コハク酸)

疲労物質である乳酸が増えたとき、クエン酸を摂取すると体内の乳酸を減少させ、疲労回復を早めてくれます。
ビタミン
(葉酸・βカロチン)
(葉酸)
葉酸は、造血や発育に欠かせないビタミンです。妊娠したお母さんによいようです。また、発育盛りの子供たちにも、たくさん食べてほしいですね。
(βカロチン)
βカロチンは国産のサクランボに多く含まれています。
βカロチンは、体内でビタミンAに変換され、目や肌を健康に保つ作用があります。
また、変換されないβカロチンは、抗酸化作用が強く、体内の余分な活性酸素を除去し、老化や生活習慣病予防に期待が持てます。

●漢方の視点で

 漢方では「一切の虚症を治し、疲労を回復させ、皮膚を滋養し、潤す」と言われています。また、意外ですが、強壮剤としても効くそうです。顔色をよくし、美人をつくるといわれています。
 消化を促進する働きもありますから、体が弱っている病後や疲労のため食欲がないときにもよい食べ物です。
 また、便秘症にもいいようです。便のpHを下げる働きと、便の量を増す効果があります。難消化性の糖アルコールであるソルビトールが、4.6g/200gと豊富に含まれています。当然、食物繊維も豊富です。
 中国の唐の時代、すでに「咳止め」として用いていられていたそうです。咳を鎮める作用は、サクランボに含まれるアミグダリンという成分で、一日約10個食べるとよいでしょう。
 通風の痛みにも良く効くという噂もあります。西洋医学では通風には「クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム製剤」 を処方しますので、うなずける話です。

■サクランボの効能
解熱・咳止め・痰切り・疲労回復・高血圧・美肌・食欲増進・眼病・むくみ

■関連記事1【サクランボ栽培情報】
鉢植えで楽しむサクランボ。家庭で栽培できるサクランボです。いながらにしてサクランボ狩りを存分に。
全国さくらんぼ普及会 http://sakuranbo.org/

■関連記事1【サクランボ酒】
材料
サクランボ…500g、日本酒…1000cc
【作り方】
新鮮なサクランボを流水でよく洗い、日本酒に漬け込みます。10日ほど密封して冷暗所に保管すれば味もなじみ、美味しいサクランボ酒のできあがりです。
【服用】
毎日就寝前に、30〜60ccくらい服用します。
【効能】
冷え性、関節の痛みなど。


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