漢タロウ薬局 9月の健康コラム
薬剤師:斎藤まゆみ
あなたの肥満度(体脂肪)チェック!
● かくれた肥満、内臓脂肪型肥満をチェック
年齢を重ねるごとに徐々に体重が増えてきている方はもちろんですが、そう体重が増減していない方でも、体内脂肪の内容が変わっている場合があります。俗に肥満と言うのは、皮下脂肪が余分にたまって体重に影響してきて太ってきたなと実感します。ところが最近よく言われ出したことなのですが、体脂肪には皮下脂肪のほかに内臓脂肪と言うものがあるそうです。
「メタボリックシンドローム」と言う言葉が独り歩きしていますけど、実は内臓脂肪が原因で引き起こされる症状のことを指しています。
単純に体重の増減を気にするだけでは、本当の健康には至らないのです。自身の身体状況を、客観的数字で把握することが大事なんですね。
今回、当、漢タロウ薬局では、こう言った視点から、簡単な体脂肪の計測を実施させていただきました。
★体成分分析表(自己チェックシート)はこちらから
● 肥満解消のポイント
肥満は、食事から摂取する熱量(エネルギー)より、生活上の消費熱量が少ない場合に、脂肪として体内に蓄積する機構が原因です。この機構は、現代のように食べ物が豊富でなかった時代、飢饉に備えて体内にエネルギーを保存しておくために発達させた機構です。むかしは、人が生きて行く上でとても大事な機構だったわけですが、これが、現代においては健康を害する機構ともなっているわけですから、皮肉な話ですね。
大事なことは、摂取する熱量と消費熱量のバランスを上手にとることです。
以下に留意点を挙げて見ます。参考にしていただければ幸いです。
● 客観的数字で「肥満度(体脂肪)」チェック
肥満度を客観的数字で表すときは、体脂肪率を計算します。その値を「BMI値」と言います。この数字を求めるための公式があります。
事例:Aさんの場合(身長:1.65m/体重:70kg男性)
BMI値=70kg÷(1.65m×1.65m)=25.7
<体脂肪率標準基準値>
肥満度 |
スリム |
ノーマル |
ボーダー |
肥 満 |
女 性 |
20%未満 |
20%〜30%未満 |
30%〜35%未満 |
35%以上 |
男 性 |
15%未満 |
15%〜20%未満 |
20%〜25%未満 |
25%以上 |
基準値からAさんは、BMI値がボーダー上にあることがわかります。
● 減量大作戦(安全なダイエットのために…!)
食事は生命を維持するために必要な熱量(エネルギー)を補給することですが、その生命維持と諸活動を行うのに必要な熱量は、1日単位でおのずと標準値が決定されます。以下に公式を示します。
★標準体重と1日単位の必要熱量
1. 標準体重=(身長 m×身長 m)×22
2. 要減量体重=現在の体重 − 標準体重
3. 1日単位の必要熱量(エネルギー)の算出
標準体重×生活強度指数=1日単位の必要熱量
(生活強度指数:デスクワーク/25 肉体労働・スポーツ選手/30)
条件として年齢によって必要熱量の数字は違ってきます。詳しくは、栄養士または管理栄養士にご相談ください。
★ 適正な減量(ダイエット)の目安
体重1kgを減量するためには7,200kcalの熱量を消費しなければなりません。安全な減量の目安として1ヶ月、1〜2kg程度といわれていますので、まず、1ヶ月1kgの減量を目標に設定してみます。つまり、1kgの熱量7,200kcalを30日間で消費すると考えるわけです。すると、1日240lcalの消費熱量が必要になります。
例えば、缶ビール(350ml)1本が200kcalです。散歩を15分すると40kcal消費します。従って、缶ビール(350ml)1本を我慢して15分の散歩を30日間続けると、1kgの減量が1ヶ月で実現するという計算になります。しかし、これは机上の計算です。現実はなかなか厳しいものがありますよね。
● 気をつけたい食事の内容
1. 脂肪を摂り過ぎない |
なるべく揚げ物を避け、調理法を工夫してみるのも必要です。
肉や魚は網焼きにして、余分な脂肪を落としたり、野菜なども油で炒めるのではなくて、電子レンジでチンをして、温野菜で食べると野菜の味が良くなります。
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2. 野菜は1日300gが目安 |
300gの野菜の目安は、レタス1個。あるいは、キャベツが1/3個です。
ビタミン類と食物繊維が不足してくると、結局、悪い影響が必ず出てきます。ダイエット効果をあげるのには、食物繊維の多く含む野菜を意識して食べるのがよいといわれています。食物繊維は腸を刺激して便秘解消に効果がありますし、食べるときによく噛まなければなりませんので、脳の中で満腹感を味わうことができます。
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3. 炭水化物(主食)を摂り過ぎない |
ご飯や麺類、パンなどの主食の摂り過ぎは、ダイエットには厳禁です。
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4. 1日3食規則正しい食生活を心掛けましょう |
食事だけでなく、生活全般を規則正しくして行くことが大切です。人を含めた動物には、生命を維持するために様々な体内時計ともいえるシステムが稼動しています。その時計に反した生活がつづきますと、異常な症状として表面に現れてきます。それがいわゆる生活習慣病といわれるものなのですね。
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5. 調味料の工夫 |
最近はノンカロリーシュガーとか減塩しょうゆ・味噌が市販されていますし、ハーフカロリーのマヨネーズとかドレッシングを上手に利用してみましょう。
それから調理前にしっかり下味をつけることで、全体の塩分量を減らすことができたりします。香りのあるハーブを使ったり、スパイスを効かす事も工夫の一つです。また、お酢の種類もずいぶん増えてきました。味もそれぞれ特長がありますので、試してみるもの楽しいですよね。
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6. もったいないは危険です |
最近エコの観点から「もったいない」と言う思想が見直されていますけど、ダイエットでは「もったいない」は危険です。もったいないから残り物をお腹に片付けてしまっては、せっかくの努力が水の泡ですものね。
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●運動
当然のことですが、運動をすることは、体脂肪の消費に他なりません。体脂肪の消費のことを専門用語で、「基礎代謝」と言います。減量をうまく進めるためには、この「基礎代謝」の効率を上げる必要があります。一般の人が急激な運動をしても効果はほとんど期待できません。むしろ、無理なく継続して行える「有酸素運動」がお勧めです。
ウォーキングやジョギング、サイクリングや水泳などがよいと言われています。
ただし、身体の状態によっては「有酸素運動」でも、危険な場合があります。始める前に、医師の診断を受けて、自分の身体の状態を把握した上で、専門家(トレーナー)などとよく相談しながらおすすめください。
●ストレス
肥満の原因として、最近、心因性のストレスも、重要な影響があることがわかってきました。現代社会に生きる私たちは、複雑な人間関係の中で、本音を隠して生きて行かなければなりません。自分の思い通りに行くことなどほとんどありません。ダイエット一つ取り上げても、なかなか上手くいきませんよね。それがストレスになり、過食症ということであれば、これは悲劇です。それは、早急な結果のみを求める心から発生します。だから、体重が減らないからといってがっかりしないで、ダイエット生活を楽しんでやれるような環境を考えてみるのもいいですね。だって、ダイエットは他人のためにやるのではなく、自分の健康のためにやるべきことなのですから。人目を気にする前に、自分の健康を優先させるべきです。そうすることによって、心も身体も本当の自分をとりもどすことができ、そこから真の美しさが光となって大いに発散させることができるでしょう。
●サプリメント
世間で大いに誤解があるのではと思われるのが、サプリメントのみでダイエットを進めようと言う傾向がみられます。しかし、サプリメントのみでダイエットを成功させることは、身体の健康を考えると偏っているといわざるをえません。サプリメントはあくまで補助的に、足りない栄養素の補給などに使われて、はじめて健康的なダイエットが成功するのではないでしょうか。
● 健康的なダイエット成功のためのヒント!
最近気づいたのですが、ご来店いただくお客様の中で理想的なプロポーションを維持されておられる方がたくさんおられます。そういった方たちのお話をよく聞いてみますと、例えば、趣味でヨーガをやっているのよとか、太極拳・エアロビクス・フラダンス・社交ダンスなど、いわゆる踊り系の趣味を楽しんでおられる方が、実に多いことを実感しました。
つまり、痩せることだけが目的ではなくて、まず、自分の人生を楽しむ姿勢があれば、きっとダイエットも成功するのではと感じています。
●まとめ
各メディアにあふれるダイエット情報に振り回されていては、なかなか上手くいきませんし、安易な自己診断は危険をともなう場合もあります。どうか、信頼のおける専門家に相談をして、充分な安全を図りながら進めていただければと思います。
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